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【藤鈴呼姫の恋】

[挿入画] フクロウ [物語] 珊瑚 [編集] 募集


   
【第一篇】
 
 
皆の探す声が近づいてくる、藤鈴呼は懐刀を抜き、その細い喉元に切っ先をあてた

「姫、姫様〜!」皆の声がさらに近づいてくる、父の声もきこえる
心に誓うとどかぬ愛に殉ずるその胸の内は、決して誰にも告げていない

まだ、幼さが残るおもだちと美しく澄んだ瞳に、とまどいは表れていない、
とおくに思いを告げるかのように、ゆっくり目をとじ、その腕に力を込めた

深い霧のなか、藤鈴呼の身体が少しずつ宙に浮き明るく光りはじめる
最後の願いが叶えられ、遥かなる時空への飛行が始まったのである

わずかな高音とともに、まばゆい光線が、藤鈴呼の胸元から闇夜を貫き天空にむけ走って行く

 

 

 
 祝いの宴場は紛糾していた。城主の嫡男利忠にみそめられ今宵の婚儀ののちは城内に側室として迎えられるのである。武家流の儀が滞りなく進み、その後の祝宴も開かれようとしている矢先であった。控えの間に居た筈の花嫁の姿が消えていたのである。

 溯ること弐月ほど前、命を受けた役人が訪れた時、郷士であり庄屋している父の藤島左衛門と母のキクは、全く予期せぬことにただ驚くばかりであった。かぞえの13歳と藤鈴呼がまだ幼いことを心配し、ひたすら婚儀を先に延ぬものかと懇願したが、城主の諏訪守松平長智の強引な命に屈することとなった。
 
 
 
 愛くるしい容姿の藤鈴呼は、人目もかまわず新三郎の傍らを離れなかった。3年前、藤鈴呼が10歳のとき、新三郎の家族はこの村に越してきた。幕府の殖産事業に技術と学識のある父の佐紀島右近が勅旨を受けての赴任であった。庄屋の隣の屋敷にすまい、互いに温厚な父どうし、直に親しくするなか、家族も気兼ねのないつきあいになり、藤鈴呼は兄のように慕っていた。
 
 
 
かたや昨年元服ののち、江戸へ戻るよう命ぜられて旗本屋敷である。苦しい夢に目が醒め何故か急な想いにかき立てられ、暗闇のなか灯りもつけず中庭に出ようとした。ふすまに手をかけると耳元に風のようにかすかな最初の声が聞こえる“新三郎様・・・!”忘れることのない藤鈴呼の声である。
   
 

 


 
【第二編】
 
貴方は、人を、愛したことがありますか? 
 
ささやくようなその声が、耳についてはなれない
たそがれに、街はしっとりと、そのやすらぎをかもしだしている
もし時間があったら会ってほしい、との誘いに、待ち合わせた街が一望できる丘。
気持ちのいい風がふき、つかれた時間をみどりの空気とともに洗い流してくれる・・・


<以後、考察中です。>

 


 
【本作品の意図と経過】
 甘い酸いの恋の味をたっぷりと入れ、心のエキスをギュッ〜と絞るような話しに加え、少女の恋を時空に飛ばせ、次なる展開では、ふたりの関係を、愛しくても恋せないような、ひにくな運命にしようか?などと、邪まな発想だけはたのもしいものの、細かい設定になると、上記のように全然つまんない展開になってしまう。

 本作品は、最初HELLOページの某氏のHNに惚れ、そのページに勝手に描きこんだものです。以後なんとなく気になる内容だったので、耳の掲示板にも姫の名を雫に変え描きこみました。某氏のほうは速やかにその恋の味の辛さに感想をいただきましたが、掲示板では大勢の方のなか的をえず見事にご反応のないままページの末尾から消えていきました。

2001/02/15
ご投稿頂いたフクロウさんのすてきな絵を採用希望致しましたところ、こころよくお許し頂きましたので、さっそくに掲載させていただきました。物語の進行にあわせてこれからも素敵な絵を頂けたらと希望しています。

 


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