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「カバーページ」 「光の射す場所」 制作BBS

【光の射す場所】

[音楽] 三塚 達平 [絵画] 榊ミツル [物語] ミラルド


[前記]
[第1章] 夢で逢うだけでも・・・
[第2章] 優しい夢
[第3章] 仮面の少年
[第4章] 大きな異変
[5] [6] [7] [8] [9] [10] 【考察】

【前記】 

 
初めまして!!『ミラルド』と言いマス!!
最近『千と千尋の神隠し』を見て来ました。
その映画の印象が大きくて、思い切ってHPが在るかどうか見てみると、こんな素敵なページがあったのデス!!
いろいろなコーナーの中で、一番に目に入ったのがこのコーナーでして、皆さんの面白いストーリーを読むうちに『私も書いてみよう』と思い、書く事にしました。
初めてのミラルドですが、どうか読んでやって下さい。
 
 


【1 】 夢で逢うだけでも・・・

 
千尋よ
ソナタは今頃
何をしているのだろうか

千尋よ
ソナタはまだ
私の事を覚えているだろうか

千尋よ
今夜もまだ
ソナタに逢いにいけない


「千尋ォ――‥‥」
扉の向こうから、母の高い声がする。
千尋はベッドから跳ね上がり、返事をした。
「は〜い!!」
階段を勢いよく降りて行き、台所へ入った。
母が食卓の準備を終えて、椅子に座って待っていた。
「今日もお父さん、遅いの?」
千尋が聞くと、母はぶっきら棒に答えた。
「最近、仕事が増えて忙しいのよ。」
「ふぅ〜ん‥‥。」
千尋は椅子に座り、晩御飯を食べ始めた。
食べている途中、母が千尋に言った。
「千尋、手は洗ったの?」
「忘れてた‥‥。」
「駄目じゃない。」
「は〜い‥‥。」
千尋は急いで洗面所へ行った。
蛇口を捻ると、冷たい水がドドッと出てくる。
「うう‥‥冷たい。」
真冬に水道で手を洗うのは、寒さが嫌いな千尋には、嫌な事にすぎない。
冷たい水で手を洗っている時、千尋はある思い出を回想した。
そう、あの湯屋での出来事だ。
(ハク‥‥何時になったら帰ってくるの?)
千尋が転校して来て、一年と少しが経つ。
今では友達も大勢いるし、文句なしの生活を送っていた。
でも、千尋にとって、まだ物足りないことがあった。
ハク―――‥‥
彼は、いまだにその姿を見せてはくれない。
千尋はずっと待っていた。
何度も何度も、あのトンネルに行こうとした。
しかし、千尋は我慢をして、ハクが戻って来るのを信じ、トンネルには一度も行かなかった。
湯屋での出来事を思い出すとき、千尋は決まってこう思う。
(せめて‥‥夢で逢うだけでも‥‥逢いたい‥‥。)
千尋は再び蛇口を捻り、タオルで手を拭いた。
そして台所へ行って、晩御飯を食べ始めた。
「元気がないけど、どうしたの千尋。」
母は千尋の元気がない事を知って、心配そうに聞いてくる。
そんな時、千尋はいつも無理をして笑顔を作っていた。
「大丈夫、ちょっと友達と喧嘩しちゃってさ。」
言う事する事、全部がウソの今の千尋。
一体、千尋を縛り付けているものは、何時になったら解放してくれるのだろうか。
「ごちそうさまでした。」
やがて千尋は食べ終わり、食器を流し台へと運んだ。
「お母さん、食器ここに置いとくね。」
「ありがとう。」
千尋は二階の自分の部屋に駆け上がった。
部屋に着くなり、千尋は窓を全開して、ベッドに横たわった。
その日は疲れていたのか、千尋は宿題の事も忘れて、眠りにつこうとしていた。
(宿題やらなきゃ‥‥宿題‥‥。)
そう思っているにも関わらず、眠りの波は、ドンドン千尋に押し寄せてくる。
「ハク―――‥‥‥」
千尋はハクの名前を呟き、眠りについてしまった。

 


【2】 優しい夢

 
夢を見る‥‥
優しい想いの夢‥‥
千尋は一人、青白い空間の中に立っていた。
「ここは‥‥。」
千尋が足を一歩前で踏み出すと、水の中を歩く心地がした。
驚いて足元を見る千尋。
千尋に足元には、青白く美しく光る水が、サラサラと流れていた。
その水を手で救い上げると、水が一瞬だけ光り、手の中からポロポロと落ちていく。
「綺麗‥‥。」
千尋は辺りを見回した。
辺り一面、青白い光が広がっている。
「夢の中なのかな‥‥。」
やがて、千尋は歩き出した。
足元に流れる水を辿って行くと、神殿がある場所に着いた。
好奇心をくすぐる神殿は、千尋を誘い込んでいる様に見える。
神殿に足を踏み入れるたび、千尋の足元がボウッと光る。
奥へ奥へと進んでいるうちに、神殿の最上階へ来ていた。
下を覗いて見ると、先程歩いて来た道が見えた。
「最上階まで来ちゃったんだ。」
千尋が呆然としたを見ていると、肩をトントンっと軽く叩かれた。
千尋が驚いて振り向くと、そこには水干を見にまとった、オカッパの少年が立っていた。
千尋は、その少年が誰なのかすぐに判り、少年に抱きついた。
「ハク、ハクだよね!!」
千尋は、嬉しくてたまらなかった。
「千尋‥‥逢いたかったよ。」
「私もよ、ハク‥‥!!」
その少年は、あのハクだった。
ハクも千尋を抱き締めた。
しばらく経って、千尋はハクに聞いた。
「ハク、どうして帰って来なかったの?」
「何度も帰ろうとしたよ。
 でも、湯婆婆が私の邪魔をして。」
「それで、夢の中に出てきたの?」
「ああ‥‥今の私の力では、湯婆婆の力を遮る事が出来ない。
 だから、千尋とは夢の中でしか逢えないんだ。」
ハクは、自分が情けなさそうな顔をした。
それでも、千尋は嬉しかった。
長い間ハクに逢えなかったのに、こうしてハクと話せるのだから。
「ううん、私とっても幸せよ。」
「そうか‥‥よかった。」
ハクは安心して、千尋を抱き締めていた手を解いた。
その時、千尋とハクを、まぶしい光が包み込んだ。
「千尋、そろそろ起きる時間だよ。」
「えっ!!もっとハクと一緒にいたいよ!!」
「宿題が残っているだろ?」
ハクがニヤニヤしながら言った。
千尋の頬が、一瞬赤くなった。
(宿題まだやってなかった〜‥‥。)
千尋は恥ずかしく思いながらも、ハクに話しかけた。
「‥‥夢でなら、いつでも逢えるの?」
「逢えるよ、ほら早くお行き。」
ハクに手を振られて、千尋も思わず振り返した。
そして千尋は光に包まれ、その場から消えて行った。

 


【3】 仮面の少年

 
「おっはよォ!!」
千尋が元気よく教室に入って行くと、皆がギョッと驚いた。
何時も遅刻、あるいは遅刻寸前に登校する千尋が、こんなに早学校に来るなんて、転校して来てから初めての事だ。
友人の七瀬が千尋の元へ駆けて来ると思うと、七瀬は素早く千尋の額に手をあてた。
先程まで深刻な顔をしていた七瀬は、雨が降っている空を見上げた。
「ふんふん‥‥千尋には以上なしね‥‥。
遅刻魔の千尋が遅刻しないなんて、あるわけないモノ。
雨が降って来て当然の事だわ、そうよね千尋‥‥。」
七瀬が笑いながら言った。
千尋はムッとしながら、自分の席に座った。
(せっかくステキな夢を見たのに、今日は朝からブルーじゃない。)
すると、再び七瀬が千尋に近づいて来て言った。
「千尋ォ、好きな男の子でも見つけたのォ?
 今日は何時もより早いじゃないの‥‥ね?」
千尋はビクッと肩をよせ、勢いよく立ち上がった。
「違うわよ、ただ昨日ステキな夢を見ただけよ!!」
「はっはーん、そのステキな夢に、白馬の王子様が出て来たのね?」
「七瀬!!」
千尋は七瀬を怒鳴りつけた。
いくら親友だからと言って、好き勝手に喋られては困るのだ。
(七瀬のバカ‥‥ほらほら見てよ。
皆の視線が私に纏わりつくじゃないのォ。)
千尋がギクシャクしながら席に座り直すと、七瀬はあきらめて、他の友人の元へ駆けていった。
千尋はホッとして、窓の外を眺めた。
相変わらず雨がザァザァと地面に打ち付けている。
(この調子じゃ、今日の体育の授業は無理ね。)
何時もなら中止になると嬉しいはずなのに、今日は何故か残念だったような気がした。


授業が進むにつれて、雨はドンドン激しくなっていった。
勿論、体育の授業は中止。
そして代わりに、千尋が一番嫌いな算数をする事になった。
(ああ‥‥音楽がよかったのになァ。)
千尋が溜息をつきながら窓の外を見ると、誰もいないはずの運動場に、一人の仮面を被った少年を発見した。
仮面を被った少年は、千尋の方をジッと見つめていた。
千尋は一瞬背筋が寒くなり、パッと目線を黒板に移した。
(なんだろ‥‥あの男の子‥‥。)
千尋はドキドキしながら、もう一度窓の外を見た。
しかし、もう仮面を被った少年は姿を消しているではないか。 (い‥‥いなくなってる‥‥!!)
千尋は怖くなり、早く家に帰りたいと思った。


その日は雨が凄く激しいので、クラスの半分以上の生徒が、親に迎えに来てもらっていた。
(いいなァ‥‥。)
千尋の母は仕事で忙しいので、とても「迎えに来て」など言えないのだ。
七瀬は車で家に帰って行ったので、今日は千尋の一人で帰らなければならない。
七瀬に「一緒に乗ろう」と言われたが、千尋は遠慮して断ったのだった。
(こんな事なら、七瀬と一緒に帰るんだった。)
千尋はそんな事を思いながら、雨の降る中を歩き続けた。
丁度、家の近くまで来たところだった。
千尋の行く先に、あの仮面の少年が立っているではないか。
千尋は一瞬ゾクッとして、違う方向に歩き出した。
(やだ‥‥怖いよォ‥‥。)
ビクビクと震えながら歩く千尋の後を、仮面の少年がつけて来る。
仮面の少年につけられている事が分かった千尋は、思わず走り出した。
無論、仮面の少年も走り出した。
千尋はハァハァ言いながら家のドアの鍵を開け、急いで家の中に入り、鍵をガチャガチャとかけ、チェーンもかけた。
次に家中の窓の鍵が開いていないかを確認し、自分の部屋へと急いだ。
部屋のドアを閉めた途端、千尋を寒気が襲った。
仮面の少年の恐怖と、尾行された恐怖が一度に千尋を縛りつけたからだ。
千尋はガタガタと震え、ベッドの中に潜り込んだ。
仮面の少年と言えば、さすがに家の中に入られると手が出せないらしく、あきらめて帰って行った。
その頃千尋は、まだ恐怖に襲われていた。
(怖いよ‥‥誰か助けて‥‥!!)
この恐怖心を誤魔化そうと、千尋はハクに逢う事にした。
だが、今日は何故か寝付けない。
(ハクに逢いたい、ハクに逢いたい。)
千尋が一心にそう思っていると、何時の間にか眠っていた。

 


【4】

 
「あれ‥‥。」
千尋が気がついた時には、もう夢の中に立っていた。
足元を見ると、やっぱり青白い水が流れている。
「眠っちゃったんだ。」
あの恐怖から逃れた千尋は、一目散にあの神殿へと駆け出した。
あの仮面の少年の事をハクに話そう、きっとハクなら判るはず、と思いながら、神殿の長い階段を上っていた。
やっと頂上まで上ってきた千尋を迎えたのは、美しい瞳のハクではなかった。
辺り一面、真っ赤に血で染められた頂上に、同じく血塗れのハクが倒れていたのだ。
千尋はポカンと口を開けていて、その場に立ち尽くしていた。
でも意識はスグに戻り、千尋はハクに駆け寄った。
「ハク、どうしたの!!
 何かココで起こったの!!」
千尋が必死になって泣き叫ぶ中、ハクは何も言わなかった。
ただ目を瞑り、血を流しているだけだった。
千尋は出血を防ぐため、ハンカチで傷口をふさいだ。
それでもハクの血は次々と流れていく。
「うう‥‥。」
千尋は怖くて呻き声を出した。
ハンカチも血の赤に染まっていく。
一体ココで、何が起こったのだろうか。
そんな事を考えていると、背後に何かの気配を感じた。
(なんだろう‥‥人じゃない。)
千尋が恐る恐る後ろを振り返ると、あの仮面の少年が立っていた。
「キャアァァァァア!!」
千尋は恐ろしくなり、絶叫した。
そんな千尋などお構いなしに、仮面の少年は近づいてくる。
千尋に近づくにつれて、少年の体は変化していった。
仮面の少年が姿を変えたのは、白虎だった。
大きな虎に真っ直ぐに見つめられ、千尋は何も言えない。
(どうして‥‥虎が出てくるの‥‥?)
千尋は涙目になり、俯いた。
(誰か助けて!!)
心の奥底で、一生懸命になって叫ぶ千尋。
でもハクは倒れていて動けないので、助けは来なかった。
そんな時、千尋は湯屋での出来事を思い出していた。
いろいろな人達との出逢いで、勇気を持った自分を思い出していた。
(そうだ‥‥一人でも頑張らなきゃ。)
千尋はスクッと立ち上がり、白虎の前に立ちふさがった。
「あなたは誰なの、どこから来たの。」
千尋は白虎に向かって、初めて口を開いた。
声は震えていたが、しっかりとハクを守っている。
すると白虎も口を開いた。
「怖がらなくてもいい。
 そこに倒れている、血塗れの竜をコッチに遣せ。
 湯婆婆様の御命令だ。
 夢の中で逢うのも、今日限りで禁止だ。」
白虎は深い低い声で言った。
千尋はダイタイの内容をつかんだが、まだよく判らなかった。
そして白虎の申しにも答えず、質問した。
「あなたがハクをこんな目に遭わせたの?」
千尋の問いかけに白虎はニヤリと笑い、答えた。
「そうだ。
 コイツは湯婆婆を裏切った。
 こんな人間の小娘に心を囚われ、哀れな竜だ。」
白虎は舌なめずりをして、ハクを守っている千尋を退かした。
千尋はキッと白虎を睨みつけ、大声で言った。
「ハクに何をするの!!
 まさか殺したりしないよね!!」
「殺すだと‥‥?
 当たり前の事じゃないか。
 コイツは湯婆婆様を裏切ったのだぞ。」
白虎は千尋が鬱陶しく思ったのか、千尋に飛び掛った。
「キャアァァァァァァァア!!」
千尋は頭の中が真っ白になり、叫ぶ事しか出来なかった。
そして噛み付こうとした瞬間、白虎の動きが止まった。
千尋は不思議に思い、白虎を見た。
口から血が少し出ていたが、息はしている。
何が起こったのか。
すると白虎の後ろで、何かが動いた。
ハクだ。
千尋は、ハクの魔法で危機を逃れたのだ。
「ハクッ!!」
千尋はハクの元へと走った。
出血は止まっていたが、やっぱり酷い怪我だ。
「ハク、何が起こったの!!」
千尋が大声で聞くのを落ち着かせ、ハクは話し始めた。
「私が千尋の夢の中へ入り込むトコロを、湯婆婆に見つかった。
 湯婆婆は血相を変えて、自分も一緒に入ろうとしたんだ。
 千尋を殺すためにね。
 勿論、私は湯婆婆を遮った。
 でも手下の白虎が告ぎに襲い掛かってきてね。
 とても私の手には負えなかった。
 それで、この有様だよ。」
ハクは、自分で傷口を魔法で治しながら言った。
「そんな事が遭ったなんて‥‥。」
千尋は涙目でハクの話を聞いていた。
ハクは千尋の涙を拭い、言った。
「もう夢の中でさえ逢えないかも知れない。
 それでも、千尋は悲しむ事はないのだよ。」
ハクが話し終えた直前に、千尋の体を光が包み込んだ。
「もう起きなきゃならないなんて‥‥。」
千尋が震えた声で言う。
「大丈夫、湯婆婆と今日ケリをつける。
 もし私が負けたのなら、もう千尋には逢えないだろう。
 でも、私は負けないからね。
 きっと千尋に逢いに行くよ。」
ハクは優しく微笑み、千尋を見送った。

 


【5】

 
 
 


【6】

 
 
 


【7】

 
 
 


【8】

 
 
 


【9】

 
 
 


【10】

 
 
 


【考 察】

 
 
 
   

 


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